結論:ICL手術は医療費控除の対象になる

まず結論から書くと、ICL手術の費用は医療費控除の対象になります。

ICL手術は自由診療(健康保険適用外)ですが、「治療目的の医療行為」に該当するため、確定申告をすれば税金の一部が還付されます。美容目的の施術とは異なり、近視・乱視の視力矯正は治療行為として認められています。

筆者自身、ICL手術費用71万円(両目・乱視あり)を含めて確定申告を行い、実際に還付を受けました。会社員で普段は確定申告をしていない筆者でも、e-Taxで自宅から申告できました。

注意:医療費「控除」と高額「療養費」制度は別の仕組みです。「icl 高額医療費控除」で検索する方も多いですが、ICLは自由診療のため高額療養費制度の対象にはなりません。使えるのは医療費控除のみです。この違いについては後述します。

そもそも医療費控除とは?計算の仕組み

【2026年(令和7年分)確定申告の変更点】2026年より基礎控除額がこれまでの一律48万円から最大58万円(所得による)へ引き上げられます。これにより課税所得額が減少し、ICLの医療費控除を適用した際の節税効果が相対的に大きくなる可能性があります。また、大学生年代(19〜23歳)の親族を扶養している世帯には「特定親族特別控除」が新設されており、子供のICL費用を親が支払った場合、医療費控除と併せて世帯全体の税負担を抑えることも可能です。

出典:マイナビ / 名古屋総合税理士法人(2026)

医療費控除は、1年間(1月〜12月)に支払った医療費が一定額を超えた場合に、その超えた分を所得から差し引ける制度です。

計算式はシンプルで、以下のとおりです。

医療費控除額 = 年間の医療費合計 − 保険等で補てんされた金額 − 10万円

(総所得200万円未満の場合は10万円ではなく「総所得の5%」)

※控除額の上限は200万円

大事なのは、この控除額がそのまま戻ってくるわけではないという点です。実際に戻ってくる金額は以下の2つの合計です。

  • 所得税の還付:控除額 × 自分の所得税率(5%〜45%。年収によって異なる)
  • 住民税の軽減:控除額 × 10%(翌年度の住民税が減額される)

つまり、年収が高い人ほど所得税率が高いため、同じ71万円のICLでも還付額は大きくなります。

ICL71万円で確定申告したらいくら戻る?年収別シミュレーション

「結局いくら戻るのか」が最も気になるポイントだと思うので、ICL71万円を前提にした年収別のシミュレーションをまとめました。

以下は、ICL費用71万円のみを医療費として計算した場合の目安です(他の医療費・保険給付金なし、基礎控除のみで計算)。

年収の目安所得税率所得税の還付(概算)住民税の軽減(概算)合計の還付額(概算)
300万円10%約6.1万円約6.1万円約12.2万円
400万円20%約12.2万円約6.1万円約18.3万円
500万円20%約12.2万円約6.1万円約18.3万円
600万円20%約12.2万円約6.1万円約18.3万円
700万円23%約14万円約6.1万円約20.1万円
800万円23%約14万円約6.1万円約20.1万円
1,000万円33%約20.1万円約6.1万円約26.2万円

※控除額=71万円−10万円=61万円として計算。住民税は一律10%。所得税率は課税所得に応じた税率で、実際の金額は各種控除(扶養控除・社会保険料控除など)や家族構成により変動します。あくまで目安としてお考えください。

ポイント①:年収が高いほど所得税率が高いため、還付額も大きくなる。年収500万円の会社員でも約18万円が戻る可能性がある。

ポイント②:ICL以外の医療費(家族の通院費・歯科治療費・薬代など)も合算できるので、実際の控除額はさらに大きくなる可能性あり。

ポイント③:住民税の軽減は翌年6月からの住民税に反映されるため、所得税の還付金とはタイミングが異なる。

ICLは高額療養費制度の対象にならない|混同に注意

「icl 高額医療費控除」「icl 高額療養費」で検索する方が多いようですが、ここは非常に混同しやすいポイントなので明確に整理しておきます。

制度名仕組みICLは対象?
医療費控除1年間の医療費が10万円超の場合、確定申告で所得から控除できる。自由診療も対象。対象になる ✓
高額療養費制度1ヶ月の「保険適用の」医療費が上限額を超えた場合、超過分が払い戻される。対象にならない ✗(ICLは自由診療のため)
セルフメディケーション税制特定の市販薬の購入費が12,000円超の場合に所得控除できる。医療費控除との併用不可。ICLで医療費控除を使うなら併用不可(医療費控除を選ぶべき)

ICLは自由診療(健康保険適用外)なので、高額療養費制度は使えません。使えるのは確定申告による「医療費控除」のみです。

また、セルフメディケーション税制は医療費控除と同時に使えないため、71万円のICLを受けた年は医療費控除を選んだ方が圧倒的にお得です。

筆者自身、最初はこの違いが分からず「高額医療費で戻ってくるのでは?」と勘違いしていたので、ここは特に注意してください。

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医療費控除に含められるICL関連の費用一覧

ICLの手術費用以外にも、医療費控除に含められる可能性がある費用があります。筆者の実体験をベースに一覧にまとめました。

費用の種類控除対象?筆者の場合
ICL手術費用対象 ✓71万円(両目・乱視あり)
術前の適応検査対象 ✓筆者の病院では無料だったため0円
再検査(度数決め・採血)対象 ✓手術費用に含まれていた
術後の定期検診対象 ✓3ヶ月検診まで手術費用に含まれ無料
処方された目薬対象 ✓手術費用に含まれていた
通院の交通費(公共交通機関)対象 ✓電車・バス代を計上
通院のタクシー代原則対象外(やむを得ない場合は可)使用せず
ドライシャンプー・保護メガネ等対象外自費で購入

筆者の場合、71万円の手術費用に検査・検診・目薬がすべて含まれていたため、別途かかった費用は通院の電車代程度でした。手術費用以外にかかる費用は特になかったというのが正直なところです。

交通費のメモを忘れずに:通院の交通費は領収書がなくても、日付・経路・金額のメモがあれば医療費控除に含められます。筆者は手術当日、翌日検診、1週間検診、1ヶ月検診、3ヶ月検診の交通費を記録しておきました。金額は大きくないですが、積み重ねると数千円になります。

確定申告のやり方|会社員向けステップ解説

「確定申告なんてやったことない」という会社員の方も多いと思います。筆者もそうでした。ここでは筆者が実際に行った手順を、会社員向けにできるだけ具体的に解説します。

必要なもの

  • ICL手術の領収書:これが最も重要。手術当日に受け取った71万円の領収書
  • その年の他の医療費の領収書:ICL以外の通院・歯科・薬代なども合算可能
  • 源泉徴収票:年末に会社からもらうもの(e-Taxならマイナポータル連携で自動入力可能な場合あり)
  • マイナンバーカード:e-Taxで申告する場合に必要
  • 還付金の振込先口座情報
  • 通院交通費のメモ:日付・経路・金額を記録したもの

確定申告の手順

  1. 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセス(毎年1月上旬から利用可能)
  2. 「所得税」を選択し、源泉徴収票の内容を入力:給与収入・社会保険料・源泉徴収税額など。マイナポータル連携ができれば自動入力される項目もある
  3. 「医療費控除」の欄を選択:「医療費控除を適用する」を選ぶ(セルフメディケーション税制ではなく通常の医療費控除を選択)
  4. 医療費の明細を入力:病院名(ICL手術を受けた病院名)、治療内容(「ICL手術」等)、支払金額(71万円)を入力。交通費やその他の医療費も同様に入力
  5. 生命保険等で補てんされた金額を入力:手術給付金を受け取った場合はここに入力(受け取っていなければ0円)
  6. 還付金額を確認:自動計算された還付金額が表示される
  7. e-Taxで送信:マイナンバーカードを使って電子送信。または印刷して税務署に郵送・持参も可能

会社員の方へ:医療費控除は年末調整では申告できません。自分で確定申告する必要があります。面倒に感じるかもしれませんが、71万円のICLなら十数万円が戻る可能性があります。e-Taxなら自宅から1〜2時間で完了しますので、やらない手はありません。

筆者が実際にやった手続きの流れ

筆者の場合の時系列を記録しておきます。

  1. 手術当日:71万円の領収書を受け取り、「確定申告用」とメモして保管。通院の交通費もメモに記録開始
  2. 術後の通院時:翌日検診、1週間検診、1ヶ月検診、3ヶ月検診のたびに交通費をメモに追記
  3. 年末:会社から源泉徴収票を受け取り
  4. 翌年1月〜3月:国税庁の確定申告書等作成コーナーで申告書を作成。e-Tax(マイナンバーカード方式)で送信
  5. 送信から約1ヶ月後:還付金が指定口座に振り込まれた

ICLの領収書は確定申告時に提出する必要はありませんが(明細書の提出でOK)、税務署から問い合わせがあった場合に備えて5年間保管しておく必要があります。

ICLと生命保険の給付金の関係

生命保険の手術給付金を受け取った場合、その金額は医療費控除の計算時に医療費から差し引く必要があります。

例えば、71万円のICL手術で5万円の給付金を受け取った場合:

医療費控除額 = 71万円 − 5万円(給付金)− 10万円 = 56万円

給付金を受け取ると控除額は減りますが、給付金自体がもらえるお金なので、トータルではプラスです。生命保険の給付対象になるかどうかは契約内容によるため、保険会社に確認した方がよいと筆者は感じました。

※筆者のICLと生命保険に関する詳しい体験は「ICLは生命保険の給付対象?手術給付金の確認方法」の記事で記録しています。

関連記事:ICLの費用はいくら?総額71万円の内訳と費用を抑える方法

ICLの医療費控除に関するよくある質問

Q. ICLの確定申告でいくら戻りますか?

ICL71万円の場合、年収に応じて約12万〜26万円が戻る可能性があります(所得税の還付+住民税の軽減の合計)。年収500万円の会社員なら約18万円が目安です。詳しくは年収別シミュレーションをご覧ください。

Q. ICLは高額医療費控除の対象ですか?

「高額療養費制度」と「医療費控除」は別の制度です。ICLは自由診療のため高額療養費制度の対象にはなりません。ICLで使えるのは確定申告による「医療費控除」のみです。詳しくは高額療養費制度との違いをご覧ください。

Q. 確定申告のやり方が分かりません。会社員でもできますか?

筆者も会社員で、ICLの確定申告が初めての確定申告でした。国税庁の確定申告書等作成コーナーを使えば、画面の指示に従って入力するだけで完了します。e-Tax(マイナンバーカード方式)なら自宅から申告可能で、所要時間は1〜2時間程度です。詳しくは確定申告のやり方をご覧ください。

Q. ICLの領収書をなくしてしまったらどうすればいいですか?

まずは手術を受けた病院に再発行を依頼してみてください。再発行が可能な場合が多いです。確定申告では領収書そのものの提出は不要で、「医療費控除の明細書」の提出で代替できますが、税務署から問い合わせがあった場合に備えて領収書は保管しておくのが望ましいです。

Q. 確定申告の期限を過ぎてしまいました。もう申告できませんか?

医療費控除の還付申告は、対象年の翌年1月1日から5年間有効です。例えば2024年にICL手術を受けた場合は2029年末まで申告が可能です。通常の確定申告期間(2月16日〜3月15日)を過ぎても問題ありません。

Q. 家族の医療費もまとめて申告できますか?

はい。生計を一にしている家族(配偶者・子供など)の医療費も合算して申告できます。ICL費用だけで10万円の足切りを大きく超えるので合算の必要性は低いですが、家族の通院費や歯科治療費も加えれば控除額がさらに大きくなります。

Q. セルフメディケーション税制とどちらが得ですか?

ICLを受けた年は、医療費控除を選ぶべきです。セルフメディケーション税制の控除上限は8.8万円ですが、ICL71万円なら医療費控除の控除額は61万円になります。両制度は併用できないため、ICLを受けた年は迷わず医療費控除を選択してください。

まとめ

  • ICL手術は「治療目的の医療行為」として医療費控除の対象
  • 高額療養費制度は対象外(自由診療のため)→ 使えるのは確定申告による医療費控除のみ
  • 71万円のICLなら、年収に応じて約12万〜26万円が戻る可能性がある
  • 会社員でも年末調整ではなく確定申告が必須
  • e-Taxで自宅から1〜2時間で完了する
  • 手術の領収書は5年間保管する
  • 通院の交通費もメモしておけば控除に含められる
  • 5年以内なら期限を過ぎても遡って申告可能
  • セルフメディケーション税制との併用はできない → ICLの年は医療費控除一択

71万円という金額だけを見ると高く感じますが、医療費控除で十数万円〜二十数万円が戻る可能性があります。さらに生命保険の給付金が受けられれば、実質的な自己負担はさらに小さくなります。

筆者のように会社員で普段確定申告をしない方こそ、ICLの医療費控除は忘れずに手続きするべきだと筆者は考えます。手術の領収書を受け取ったその日に「確定申告用」とメモして保管しておくことが、最初の一歩です。

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【免責事項】

本記事は筆者個人の体験記録であり、税務に関する専門的助言ではありません。医療費控除の適用可否や金額については、税務署や税理士にご確認ください。